眼鏡少女の誘惑
学校の昼休み。
中庭を通る渡り廊下の真ん中でラジカセが、やかましく鳴っている。
いや、ただラジカセが鳴っているだけではない。その横で奇妙なコスチュームで眼鏡をかけた娘がヘッドセット・マイクをつけて踊りながら音楽にあわせて歌をうたっている。
「ル〜ル〜ル〜あなたが〜いるから〜わたしが〜い〜るの〜」
聴いたことがあるような、ないような80年代アイドルポップ風の曲調だ。
通りすがる生徒たちは、たいてい、ああ、またやってるわといった風情で気にも留めていないようだ。
まだ、この光景に慣れていない新入生は少し引いた表情でながめながらこわごわ横を通る。
また、ごく少数ではあるが、彼女のファンらしき男子生徒も少し遠巻きにしてこのパフォーマンスに参加している。
「ゴーゴー、レツゴー、ラブラブ、ヒナタン!!」
どちらかというと、こっちのほうに引く女子生徒の方が多いのだが、まあこれもいつものことなので、無視するか、ちらりと見る程度でたいていの人が行過ぎる。
出来損ないのアイドルみたいな衣装で歌っているのはこの学校の生徒で2年生の川野辺飛奈という。
もともと軽音楽部に所属していた彼女がその内部で「アイドル研究会」をいきなり立ち上げたのが昨年の話で、週に1回から2回はこういうパフォーマンスを行っている。
当初は問題視もされたのだが、軽音楽部が週に1度許されている校内"路上"ライブにかこつけて、何故「アイドル研究会」が許されないのか、とさんざんごねたので許可されたという、もっぱらのうわさだ。
そもそもそんな同好会が認められるはずもないのだが、実際のところは、やや頭のネジのゆるんだ女子生徒にかかわるよりは実害がないかぎり好きなようにやらせておいたほうがいいという学校側や生徒会の判断なのだろう。
ファンがつくというのは誰しも予想しなかったことだが、どんなものにも萌えるヤツというのはいるもので、マニアックな男子生徒の何人かが「メガネに萌え〜」というわけでアイドル川野辺飛奈を熱烈に支持している。
飛奈もそんなファンの期待に応えるべく、肌の露出が多めの毎週変わる手作り衣装やら何種類もの手作りメガネのとっかえひっかえなどのサービスに努めている。
そんな飛奈がパフォーマンスをくりひろげているちょうどその時、彼女と同じクラスの高原靖男が友人とともに通りかかった。
靖男はごく普通の男子なので当然こんなアイドルごっこには何の興味も示さない。
「ルルル〜そんな〜きみが〜すき!!!」
飛奈が歌にあわせて指でピストルを撃つようなマネをする。
「パキューン…」タイミングからみて、どうも靖男を狙い撃ちしたように見えてしまう。
「おいおい、今の高原をねらってたんじゃねえか?」
「ひゅーひゅー、すげえじゃん、アイツおめぇに気があるんでないの?」
友人たちに冷やかされる靖男。
「やめてくれよ!!冗談じゃねえ…」
ほとんどマジ切れで嫌がる靖男。
今付き合っている彼女とは大事な時期だ。たとえ冗談でもあんな女にかかわって彼女とうまく行かなくなるなんて死んでもいやだ。
そもそも靖男は飛奈という女が嫌いだ。顔はかわいくないということもないが、まあ十人並みといったところか。
問題は顔より、わけのわからないその性格だ。
アイドルになりきって、自分が人気者だと信じて疑わない。
何のてらいもなく1日中、貼りついたような笑顔で愛想をふりまいている。
しゃべる言葉もいちいち何かアニメのセリフでも聞いてるようで実在感がない。
アイドルとして人気を得るための計算をしているつもりのようだが、果たして本人の思うように効果があるのか、きわめて疑わしい。
わざとらしい素通しメガネにヒラヒラの衣装。胸の谷間を少々みせたところで、ものすごい美形でもなければ、かえって気持ちが悪い。
「ヒナタンはみんなが喜んでくれたらそれでいいんでピュウウ」
誰の前でも、たとえ女子の前でも決して素の彼女を見せることはない。裏表がないといえばいえるが。
というより、あれが「素」なのだろうか。それはそれで不気味である。
とにかく普通の男子である靖男にとっては、お近づきにならないほうが、というより積極的に避けたほうが無難な存在であることは間違いなかった。
「おおーい、高原く〜ん。ケヒョケヒョ」
奇声を発しながら飛奈が靖男を名指しで近づいてくる。
頼りにすべき友人たちはニヤニヤわらいながら靖男をみすてて逃げ出してしまった。
「お、おい、お前ら…、待ってくれ」すがるような叫びもむなしく一人取り残された靖男に飛奈が話しかけてくる。
「どう、しましたぁ?高原君」
「お、おまえに高原君よばわりされるおぼえはない」靖男もうろたえて意味不明なことを口走ってしまう。
「んん?ヒナタン、よくわからないけロ。まあ、いいや。はい、これプレゼント。ほら、よろこべぇぇ」
「な、なんだこれは」
「みんなが欲しがる、ヒナタンTシャツとハッピのセットでーす。はーいおめでとう。パチパチパチ」
「い、いらねえよ。こんなもん。だいたい何でお前にこんなものプレゼントされなきゃならないんだ?」
「ヒナタンのせめてもの好意でごじゃりまするぅ。うふふ」
「わ、わからん…」
「それでは、たしかに渡したので私は去る。グッバイビー!」
と、かろやかに走り去る飛奈。
あとにヒナタンTシャツハッピセットと共に残されて呆然としている靖男のもとに様子をうかがっていた友人たちがまた集まってきた。
「おいおいおい、おまえこりゃ完全に好かれちまったなあ。ご愁傷様」
「そう…なのか」
「そうだろう、だって自分のグッズをプレゼントするっていうのは、これは愛の告白だろう、どう考えたって。なあ、河合」
「いやあ、そのう、あまりに一般的でないので俺には判断できないなあ」
「いや、わざわざ自分の分身ともいえるグッズセットを手渡しにきたのだ。これは好意以外の何ものでもあるまい」
「高原…、まあよかったじゃないか。相手が誰であれ愛されるというのは素晴らしいことだ。んぷっ」
「こら、田中。俺が川野辺に好かれるのがそんなに面白いか。え?」
「いやいや、気の毒だとは思ってるよ。でも相手がすきだってンだから仕方ないじゃないか。好意にこたえてやるのが男ってもんだ。うぷぷ」
「くそう、今サトミと微妙なところなのに、こんなこと知られたらどうなるかわかったもんじゃない」
「あきらめろ、あきらめろ。川野辺だって、ほらよくみるとかわいいぞ。胸だってけっこうでかいし。お前の欲望には十分こたえてくれるんじゃないか?」
「据え膳食わぬはなんとかって言うじゃんよ、いっとけ、いっとけ」
「お、お前ら勝手なことばかり言いやがって、それでも友だちか。そんなによけりゃ、お前らがあいつと付き合え。ああ〜もうだめだ〜」
「まあまあ、冗談だよ。いくら川野辺だってお前を拉致まではしないだろ。言い寄ってきたって無視しつづければいいだけのことじゃないか。心配すんなって」
「そ、そうかなあ。あいつなら拉致だってやりかねないと俺は思うんだけど」
結果的に高原の、その意見は正しかった。
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「う、う〜ん」
靖男が目を覚ます。
「おれは…… 気を失ってたのか?」ややだだっぴろい部屋。学校の中なのだろうか。
「ここは…どこだ」自分が何故こんなところで眠っていたのか、まだボーっとして思い出せない。
「あ、川野辺…」思い出した。
記憶の最後にあるのは川野辺飛奈の目だ。あれは、5時限目と6時限目の間の休み時間…。
…その日の5時限目が終わると靖男はすっと教室を抜け出し、ある場所へと向かっていた。
周りの様子をうかがいながら廊下を歩いていく。いつ川野辺飛奈の襲撃がないとも限らないからだ。
旧校舎裏にサトミが待っているはずだ。ここしばらくは、すれ違いが多く、二人の関係は、しごくまずい雰囲気になっている。
今日も友達を通じてなんとか呼び出すことが出来た。ここで関係を修復しなければ別れたも同然の状況となる。
サトミももしかすると靖男と飛奈の無責任なウワサを耳にしているかもしれない。
そうだとすると、そういう誤解もはっきりと解いてやらないといけないし、いずれにしてもはっきりとさせなければいけない時期に来ている、と靖男は思う。
ここで万が一でもあの川野辺が絡んでくると話はものすごくややこしくなってしまう。
それはなんとしても阻止しなければならない。靖男は普通の生活に戻りたかった。
なんとか川野辺にみつからずに旧校舎裏にたどりついて、靖男はほっと胸をなでおろす。
人影が見えた。サトミが先に来ていたようだ。
「ああ、ごめんごめん。待った?…え?」
「でへぇ、お待ち申し上げておりましたぁ!高原君の愛しのヒナタンがお出迎えにょ〜」
「な、なんでお前が…」靖男は怒りで身体をわなわなと震わせている。
川野辺は、さすがにいつものようなヒラヒラ衣装ではなく、制服姿だ。
ただし、当然、人より目立つべく、スカートも上着も短めにして、パンツやへそがちらちらと垣間見えるよう努力している。
が、もちろんそんなものに翻弄される靖男ではない。
「あ、サトミちゃんは来ないぴょ。このヒナタンがちゃんと話をつけときましたからぁ」
「話って…。大体なんでお前がオレとサトミがここで会うって知ってたんだ」
「あらぁん、大事な高原君のことだもん、ヒナタン何でも知ってるろ〜。高原君もヒナタンに夢中なのでサトミちゃんはあきらめるべしってちゃんと言っときましたぁ」
危惧していたことが現実となった。脱力感から靖男はがっくりと膝を折る。
「お、お、お、おまえなあああああ!!!!」
「ほえ?」
「い・っ・た・い・だ・れ・が・お・ま・え・に・む・ちゅ・う・だあああああ!!!?」
「だから、高原君…」
「オレはお前なんかに何の興味もないんだよ。むしろ目の前から消えて欲しいよ。サトミのほうがお前の何百万倍もここにいて欲しいんだよ。わかるか、このバカおんな!!!!くそう人の幸せをむちゃくちゃにしやがってぇ!!!!!」
靖男の魂の叫びにも飛奈は、まったく動じる様子を見せない。
「ふむふむ、今は確かに高原君はヒナタンに興味がないかもしれない…。でもね…」
一瞬、川野辺飛奈の目がきらりと光る。
「これから、高原君は、この川野辺飛奈に夢中になってしまうの」
その瞬間、川野辺飛奈から唐突にものすごい気が発せられたような感覚があって、靖男はたじろぎ、あとずさる。
「何ものだおまえ。前から何か変だと思っていたけど、何をたくらんでる、こら。白状しろ」
「ヒナタン何もたくらまない。ヒナタンうそつかない。ただ美少年が好きなだけ。ホントあるよ」
「とぼけるな。だいたいそのメガネからして怪しいンだ。一体何の意味があるんだよ」
「意味って、私、メガネ好きだし、これかけてるとかわいくなれるような気がするし、それに…このメガネは不思議な力を持ってるから…」
「ちから?」
川野辺飛奈の目が再びきらりと光る。その瞬間、飛奈の目を見たまま靖男の体はガチガチにかたまって動けなくなる。
「な、な、なんだ」
「うふふう」今までに見たこともない飛奈の妖しい微笑み。
「なん、なんで、いったい、あ、ああ…」身体の力が入らない。
そしてそのままスーッと意識が薄れていったのだった。
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「ここは…」
靖男は起き上がる。身体は自由になったようだ。
まわりを見回す。もうすぐ取り壊す予定の旧校舎の中の一室とおもわれる。
石膏像が転がっているところを見ると、昔の美術室なのかもしれない。
「あら、目が覚めた?」
女の声にビクっとしてそちらを見る。ニーソックスを履いて、あとは下着だけという川野辺飛奈の姿がそこにあった。もちろんメガネは掛けている。
「おまえか。いったいオレに…何をした?」
「別に。まだあなたの心には何も手をつけてない。ちょっと眠ってココまで来てもらっただけ」
「ちょっとまて。お前、…いつもとずいぶん、しゃべり方が、というか雰囲気が違うぞ」
「オロ?高原君はこんなしゃべり方の方がお好きですけろろ?って、さすがに私もちょっとあきちゃったし、なんか疲れるのよね、」
「な、な、な…」目をしろくろさせる靖男。
話し方が少し違うだけでそのルックスまで大人びて見えてしまう。
こいつはこんなにスタイルが良かったか?足なんかスラッとして長いし胸なんかプヨプヨだし−そういえば靖男は川野辺飛奈のことなんかまともに見ようとしたことすらなかったことに思い当たる。
靖男は今までとのギャップからか少しどきどきしてしまう自分に気付いてとまどう。
「お、おれをどうするつもりだ。心に手をつけるって?なんのことだ、いったい」
「うふう、そうねえ、私をただ好きにさせるのは簡単だけど、それじゃ面白くないしぃ、じゃ、感情だけを植えつけてあげる。大丈夫よ。あなたの意識はそのままだから」
「何言ってんだ?俺は帰るぞ。こら、え?」
「私の目を見て!!」
虚を突かれたのか靖男は、つい飛奈の目を見てしまう。
「え?う、また…」
高原は飛奈のメガネの奥の目をみたまま身体が動かなくなる。今度は気が遠くなることはないが、なにか頭の中がむずむずするような変な感覚だ。
「もう少しで終わるからね。ちょっと我慢よ」
飛奈は高原を強くみつめたまま目を開いたり細めたりしている。
「大丈夫だよ〜。君自身は何も変化を感じない。高原君は高原君のまま、ちょっとだけ今までと違った感情が湧いてくる…」
ちがった感情?よく意味がわからない。こんな状況にもかかわらず、なんだか甘酸っぱいドキドキ感を感じているのだが、これがそうなのか。
「そう、高原君がいつもオカズにしてたりする、あこがれのグラビアアイドルが目の前にいるのと同じ感情が湧いてくる。でも、理性や意識はそのままよ。私が川野辺飛奈だということはちゃんとわかってる」
飛奈の言うとおりだった。靖男は頭では目の前にいるのが、にくらしい川野辺飛奈であることは十分に分かっているのではあったが、気を緩めるとつい、ときめいてしまう自分にも気付いていた。
(ああ、なんか、飛奈がすごく可愛くみえるし、おっぱいなんかプニプニでおいしそうだし、う、うう、たまんなくなってきた…ううう、だめだ、だめだ!!あれは飛奈だぞ、とんでもねえ)
気が付くと飛奈はもう靖男から少し離れたところに立ち、見下ろすように妖艶に微笑んでいる。
「いいのよ。高原君の好きにしていいの。ねえ、飛奈のことめちゃくちゃにしちゃって〜」
「うぐ、うぐぐぐ」
飛奈のあからさまな挑発と誘惑。靖男は強烈な葛藤に、のたうちまわる。
行きたい。憧れのアイドルに手招きされて−好きにしていいの−と、せまられている状況におけるものと同じ感情が今、靖男のなかで爆発しそうになっている。
しかし、まだなんとか残っている彼の理性が力づくでそれを押しとどめる。
違う、あいつは憧れのアイドルなんかじゃねえ、飛奈だ、にくたらしい川野辺飛奈だ、
見てみろ、あの顔、あの顔のどこがアイドルだって−か、かわいいじゃないか…いや、ちがう、あの身体のどこが−うう、色っぽい、食べたい……だめだ、何を考えてるんだ。しっかりしろ、俺!!
いつもいつもグラビアで見てあこがれていた、あの娘がいまここにいて自分を誘惑している。
わかってはいても、そういう感じが心の中を支配する。
この肢体を写したグラビアをみて何回もオナニーをした記憶を自分の中に感じてしまう。そんなはずはないのに。
「お、おまえ、俺に何をしたあ、おまえ何者だぁ〜」
「こらこら、そんな怖い顔してもだめだぞ。おいで、素直に飛奈のこと抱しめてくれたら、きっと気持ちいいぞ。うふふ…」
「やめろぉ、そんなにステキに微笑むなあ…、俺は、おれはぁああ…」
自分の意思で身体が支えきれない。一歩ずつのろのろと体は飛奈に近づいていってしまう。
近づくほどに、自分を包む幸福感、恍惚感がますます高まってくる。
「ねえ、キスしてもいいよ」
ハートマークの入ったような甘い誘惑の言葉。
靖男は、もう自分のときめきをとめることはできない。
ヒナタンが、キスしてもいいって言ってる。ああ、こんなチャンスは二度とないに違いない、いやいや何考えてんだ俺は…
そう思いながらも体は飛奈にどんどん接近していく。
顔と顔が近づく、ほとんど残っていない靖男の理性が最後の最後の抵抗をつづける。
(だめだぁ、なんとか、なんとかしなくちゃ。こいつの、こいつの弱点はなんだあ?)
そのとき、不意に思い出した飛奈の言葉…。
(たしか…)
−このメガネには不思議な力があるの−
メガネ…メガネ…!そうか――。
こいつのメガネをはずせば、とってしまえばきっと何とかなる。このメガネさえ…。
飛奈の顔は、もう目の前15センチほどのところまで来ている。
愛らしく微笑んでじっと靖男をみつめている。でも、ああ、なんて、かわいい…。
靖男はそんな自分の感情を押し殺し、最後に残った意志の力のすべてをつかって腕をゆっくりと動かす。
「ぐ、ぐううう…」
指の先が少しずつ飛奈のメガネに向かっていく。まるで何十キロものおもりをつけたような緩慢な動き。
飛奈はみじろぎもせず、ただ微笑んで靖男をみつめつづけるだけだ。
ようやくメガネに届いた靖男は脳が焼ききれるような感覚に耐えつつもそれを飛奈の顔から一気に剥ぎ取った。
「どおおおぉだああああ!!!!」
一瞬きょとんとする飛奈、勝ち誇ったように再びその目をみつめる靖男。
しかし。
「う、うわわああああああああ!!!!!」
悲鳴を上げて、その場にたおれこんだのは靖男のほうだった。
「あらん、私のメガネとっちゃったらダメじゃない。このメガネには不思議な力があって、私の強力な眼力を人に大きな影響を与えない程度に弱めてくれていたのに。メガネなしで私の目を見て発狂しちゃってもしらないわよう」
靖男は床にころがって痙攣している。
「う、うう、うふ、うふうう、ヒナタンだ、ヒナタンだぁ、あはは、ヒナタ〜ン。へへへへへへ…」
飛奈は再びメガネをかける。
虚空をながめ、とりとめもないことをぶつぶつ言っているだけの靖男だったが、さすがに10分もすると精神もやや落ち着きを取り戻す。どうやら発狂だけは免れたようだ。しかし。
「わあ、ヒナタン、ヒナタン、本当にヒナタンなの?すっげー。俺、ファンなんだよ。ずっと好きで好きで大好きだったんだよ」
「あらあ、もう私のことアイドルとしか思えなくなっちゃったのね。まあ、いいわ。いらっしゃい。気持ちいいことしましょ」
「ええ!?いいの!?俺なんかがヒナタンと?うわあ、なんか夢みてえ…」
靖男の股間は既に固くなってきている。目の前にいるのは大好きなグラドルのヒナタン以外の何ものでもない。
「ほら、キスしよ」
「え?う、うん」
靖男は目を閉じて飛奈の導くままに唇をあわせる。
(ふ、ふわ〜。俺、今、ヒナタンとキスしてるぅ。うそみて〜)
口の中に舌がねじ込まれてくる。靖男もそれに応えて舌をからみつかせる。
「むふ、ぬる、にゅるる…」
最高に幸せだ。これだけで股間はパンパンに膨れ上がり、もう、ちょっと触れられただけでも射精してしまいそうだ。
「むちゅ、ねえ、今度は私のおっぱいも舐めて…」
飛奈は自分からブラジャーをずらし、乳首をあらわにする。
靖男は、ちゅっちゅっと唇から首筋へとすこしずつ移動しながら口付けをつづける。
そして次第に下へ…胸のふくらみにまで達する。
「ちゅ、ぺろ、ちゅ、ふううう、ヒナタンのおっぱいだあ。すげえよう。この胸の谷間に顔をうずめるのが夢だったんだよう。ふにゅうう」
顔を胸におしつける。ふんわりとやわらかい。靖男は幸福感で気が遠くなってくる。
「じゃ、舐めますね。ぺろ、ぺろ、ちゅるん…」
「ああん、靖男、いいん、乳首がきもちいい…ふぅぅぅ」
「ちゅ、ちゅ、ヒナタンは乳首を吸われるのが好きなんだね。かわいい…。ちゅ、ちゅ…」
「あくぅ!!ああん、そんな、そんなふうにあま咬みされたら、もう、たまんないぃぃぃ」
盛り上がってきた飛奈は靖男をぐっと強く抱きしめた。
そして夢中で胸を舐める靖男の頭を今度は手でぐっと下に押し下げる。
「今度は…、クリちゃんを…なめて、あ、あん…」
靖男はひたすら舌を回転させ、あこがれのヒナタンのへそから股間へと頭を移していく。
飛奈はうれしそうにそれをじっと眺めている。
「ああ、いい!!そうよ、そこをもっと強くぅ。なめてぇ、舌でいたぶって、あ、あん、いいわあ、美少年に舌で股間をなぶられるって、やっぱりいいわぁ!!やめられない…あ、あ、くううう」
「ぴちゃ、ぴちゃ、ちゅう、れろ…はあ、はあ、すげえ、いい、ヒナタンのクリちゃんと、おま○こ…まじすげえ…」
いままでグラビア写真をみながら股間を固くしてその中身を想像していた、その下着の下にある、あこがれの秘部。
それが今、目の前に、しかもそれを自分の舌で舐めている。
飛奈をアイドルと思い込んでしまった靖男にとってそれは感動であり、いままでにない興奮であった。
一方、飛奈も自分を崇拝する美少年に、かしずかれ奉仕される快感を久しぶりに楽しんでいた。
「ああ、はあ、あはあ、うふ、ねえ、入れたかったら、入れてもいいんだよ。高原君。う、ふう」
「ええ!?い、い、い、いいんですか?オレ、オレ、もうさっきから漏れそうというか…、あ、う」
いきなり飛奈が靖男の股間に手を伸ばしたので思わず腰を引く。
一瞬だけ当たった手の感触の余韻だけで極限まで怒張した靖男のちん○は、爆発しそうになってしまった。
「あ、あ、ああ…ふう、ふう、ふう、あぶなかった…。え?」
ふと前をみると、今度は飛奈が両足首を自分の手でつかみ、大開脚で靖男を誘っている。
さっきまで夢中で舐めていたので、気が付かなかったが、改めて見る飛奈のおま○こは、とても卑猥でいやらしかった。
「ああ…ヒナタンの…川野辺飛奈の…おま○こだぁ…」
ふらふらと吸いつけられるように、靖男は飛奈に近づいていく。
そしてそのまま、いきり立ったそれをぬぷぬぷと飛奈のなかに沈めて行くのだった。
「あはあ、高原君のが入ってくる。たまらないわあ。おいしいわあ…」
「はあ、はあ、ヒナタン、はあ、はあ…」
靖男はとりつかれたような表情で腰をふりつづける。
飛奈は美少年の肉棒をうれしそうにしみじみと味わっている。
「美少年に貫かれるのってやっぱ、たまんないわあ、はあ、はあ、もう、もっともっといっぱいの美少年に突かれた〜い、いろんなところを攻められた〜い。あん、想像してたらもっと感じてきちゃったあ、あふうん。高原くぅん、私に顔見せて…」
汗にまみれ、恍惚とした表情で腰を振り、自分の中にその分身をつきたててよがる靖男を見て飛奈は胸がキュンとなるほどのいとおしさを感じた。
「か、かわいいい〜!!あぅん、もっと強くぅ〜」
「はあ、はあ、はあ、ヒナタン、はあ、はあ、オレ、いまヒナタンを犯してる、ヒナタンとセックスしてる、はあ、はあ、ああ、もう死んでもいいよう。う、ううう、ヒ、ヒナタン、もう出そうだよ。どうしよう、う、く、ううう」
このまま出していいものかとまどう靖男は可愛かった。飛奈はやさしく囁いてやる。
「いいのよ、このまま出しても…。ただし私の中に出しちゃったら、2度と私以外の女の子には発情できなくなっちゃうわ。それでもよければ出しなさい」
「いいの?もうオレ、ヒナタン以外の女なんて考えられないし、ここで出せたら、もう、もうほんとに死んでもいい!!!!あ、あ、あああイくううううう」
ドク、ドク、ドクと射精するたびに靖男の身体全体も、がくがくと動く。
飛奈も満足そうにため息をついた。
「あ、あああ、うう…」
「ふうううう…よかったわぁ…」
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数日後。
再び学校の昼休み。
またも渡り廊下で歌い踊っている飛奈に一番大きな声援をとばしているのは、もちろんヒナタンTシャツとハッピに身を包んだ高原靖男だ。
「ヒナタン、ラブリイ、ハッピ、ハッピ、キュ〜ン!」
その目はもう飛奈しか見つめてはいない。
本当に飛奈と引っ付いてしまった靖男に友達すらもう寄り付かなくなっている。
その横を元カノのサトミとその新しいカレシが通りかかる。
「…たかはらクン…」すこし痛々しそうな目で靖男をみるサトミ、でも靖男はそんなサトミがいることにすら気付きもしない。
「ヒナタ〜ン、最高!!!!!」
「うふ、ありがと〜ん。ケロケロ〜」
頭のネジの緩んだ不思議ちゃんぶりはいつもの調子ながら、靖男だけにはこっそりと色っぽい目線をおくる。
靖男の顔は幸せいっぱいだ。
それからしばらくして学校から二人の姿が消えた。
しかし不思議なことに、それに気付いたものはいないようだ。
川野辺飛奈という「アイドル」がいたこと、そしてそのアイドルに溺れてしまった靖男の存在さえ誰もほとんど思い出すことはない。
川野辺飛奈は高原靖男をつれてどこへ行ったのかは定かではない、しかし多くの美少年をその手にいれるという飛奈の野望は始まったばかりなのだ。
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