人格吸引機




 マインドコントロール社の会議室は主に本社13階のフロアに集中している。

 今日もその第3会議室で研究室主催の月例新製品企画ブリーフィングが行われているところだ。

 「…この新しい電流刺激システムを応用したものとして一点、新製品のプロトタイプを作成いたしました。これは単なるモックアップではなく実際に稼動できるものであります…。」

 スクリーンに映されたコンピュータによるプレゼン画面がいったん消え、部屋の電気がつけられる。

 「説明だけでは、ナンですので実際にここで実演をお見せしようと思います。」

 説明者である第2研究室長−村上祐助が合図をすると会議室のドアが開かれ一人の女が入ってきた。

 出席者の誰もが知らない顔だったが、特に誰も驚いた顔はしない。

 コンパニオン派遣会社から実験用の女性を調達するのはこの会社ではよくあることなのだ。

 むろん、ここで行われたことは一切覚えていないように、もしくはまったく違った記憶を持たせて帰すことはいうまでもない。

 モルモットにされる女性に対して著しく破廉恥な行為や性行為を要求するなどということは決してないのだが、この会社の場合、企業秘密をまもるためには守秘義務を誓わせるだけでは決して十分とはいえないからだ。

 「ああ、本日はよろしくおねがいします。」村上室長が頭を下げると、「モルモット」もペコリと愛想良く頭を下げた。

 「決して痛いとか、そういうことはありませんから…。その椅子にこしかけてもらえますか。」

 「あ、はい。」やや不安そうな表情で、どちらかというと真面目そうな感じのその女は腰をかける。

 村上室長は出席者のほうへ向き直ると、再び説明を始める。

 「これが先ほど説明しました小型幻覚誘導機のプロトタイプです。」

 そういいながら、ちょうどテレビのリモコンぐらいの大きさのプラスチック製で白い楕円型をした機械を取り出してみんなに見せた。

 「特に女性用に調整してあります。これを握ってスイッチを入れることで自分で望んだ幻覚が本当にリアルに五感で感じられるようになる。究極の参加型立体映画とでもいいますか…。」

 みんなが身を乗り出すようにして注目している。

 「あなたはどんな幻覚がみたいですか?」

 村上室長は女に問いかけたが

 「え?ああ、あの…。」と、特に事前の打ち合わせもなかったのか突然の事でとまどっているようだった。

 「ああ、結構です。いちおう事前にプログラムしてありますので、それで行くことにします。とりあえずこれを握ってもらえますか。」

 村上室長はさっきの機械を女に手渡した。

 「は、はい。」

 「そして、あなたの一番あこがれの男性、抱かれたい男性をイメージしながらボタンを押してみてください。」

 「え?はぁ、はい…。」いぶかしげな表情をしながらも女は指示に従いボタンを押す。

 「ああぁ…。」押した瞬間に女は、かすかなあえぎ声をあげると、くったりと失神してしまった。

 機械は手に握ったままだ。

 「えー、機械にはあこがれの男性と自宅のベッドの上で性行為を行い、最高の快感でイってしまう幻覚が見えるようプログラムがされています。そろそろはじまります。」

 失神して頭をたれていた女がパチリと目を開けむくりと頭を上げた。

 目の焦点はちょうど真ん前の人の顔をみつめているように見える。

 ポッと顔を赤らめて、さっきとは全く違ったイロっぽい表情だ。

 「うふん…。」どうやら、はじまったようだ。

 薄く開けた唇から舌が這い出してくる。ステキな彼氏と濃厚なキスでも交わしているのだろう、腕が浮き上がって相手の肩を抱いているような形になっている。

 熱を帯びたうっとりした目は決して演技ではない本物だ。

 キスが終わると、女の息は荒くなり、妖艶なあえぎ声が漏れ始める。

 「くふん、くふん、あ、あふぅ…。」

 「えー、ただ今彼氏に愛撫されているところですね。」

 村上室長が大真面目な顔でいわずもがなの解説をする。

 彼女自身は椅子の上でやや身体をくねらせているぐらいの動きなのだが、

 「今、彼女は実際に身体を動かしているわけではありませんが、本人にとっては本当にセックスをしているのと寸分違わない体験をしているのです。」…ということらしい。

 時間とともに彼女の興奮度が高まってくるのがよくわかる。

 よがり声はもう、叫び声に近くなってきた。そしてひときわ大きな声と脱力。

 「あ、あああ!く、くぅぅ…。」

 彼女がクライマックスに達したのは誰の目にも明らかだった。

 「プログラムにしたがって、セックスを終えた後自動的に目が覚めるようになっています。」

 うつろな目に生気が少しずつ戻ってきている。

 「あ…あれ?ここは?タダシ君はどこ?え?あ…。」

 「目が覚めましたか?ここはMC社の会議室ですよ。」

 「え、ええ。でも確かにわたしタダシ君と…シてたのに。」

 「気持ちよかったですか?」との村上室長の問いに、

 「ええ。とても。」と少し恥ずかしそうに女はうなずいた。

 「彼女がパニックに陥らないのも、そのようにプログラムを入れておいたからです。彼女は今、頭の中がボーっとしてあまりものを考えられない状態になっている。この後の処理はスタッフにまかせることにしましょう。」

 会議室に白衣を着た数名の男女が入ってきて女をかかえて連れ去っていった。

 「処理」をほどこされたあと帰されるのだろう。



 「さて、みなさん。ご質問は?」

 営業部の各課からあつまった出席者たちは興味津々でつぎつぎと村上室長に質問をあびせかける。

 男性用のチューニングは出来るのか?プログラムできる範囲は?そして肝心の価格設定は?

 村上室長はていねいに一つ一つの質問に答えていった。

 一通り答えた後で村上室長はまた話し始める。

 「…とはいってもまだ100%完成しているわけではありませんので本日は皆さんの意見をうかがって開発に反映させていきたいと思います。いかがでしょうか。

 「男性用はやめておいたほうがいいかもしれませんよねえ、職場放棄した上に自宅で干からびる独身者が続発するおそれがある。」

 「セックス専用にプログラムを固定してコストを落としたほうが、売るほうとしては売りやすいとおもいます。どうせほとんどがその用途になると思われますし…。」

 「自分で体験してみなければわからないので是非一度貸してください。」

 部外者が聞けば冗談のようなやりとりだが本人たちは真剣で盛んにメモを取っているものもいる。

 「貴重な意見ありがとう。参考にさせていただきます。おや、少し時間をとりすぎてしまったみたいだ。もうひとつ『人格吸引機』のコンセプト紹介もしたかったんだけど、これは次回にさせてもらおうかな。」

 会議は終了し、出席者はそれぞれの部署へと帰っていく。

 中には今日の製品について議論を交わしながら帰っていくものもいる。

 村上室長は今日の発表への営業部員たちの食いつきに手ごたえを感じていた。

 出席者がほぼ出払った後、片づけを終え資料をまとめて部屋を出ようとした村上室長を呼び止めた男がいた。

 「室長。」

 「ああ、営業3課の城元君か。まだ何か質問でも?」

 「いえ、あんなオナニーマシンのことはどうでもいいんですが…、室長が最後にぽろっと『人格吸引機』とおっしゃったのが、少し気になりまして。」

 「ああ、あれか。まだ開発途中なので基本的なコンセプトぐらいしか説明できないが、気になるかね?」

 「ええ、人格を吸引するという意味がよくわからないんですが、なにか引っかかるんです。」

 「ふん、じゃあ、まあ第2研究室まで来なさい。説明してあげよう。」

 二人は第2研究室まで連れ立って行く。

 

 「ま、これが試作品だ。まだまだ未完成だが参考までに見るか。」

 大型のパソコンぐらいの箱から何本もの端子がでた機械が机の上においてある。

 「基本的な原理はさっきの小型幻覚誘導機と同じだがこちらのほうが仕組みは複雑でパワーも大きいな。」

 「これを使って相手をトランス状態にするということですか?」

 「いや、それとも少し違うのだが、まあ文字通りその人の人格を吸い取ってしまうと考えるとわかりやすいかな。」

 「人格が、吸い取れるのですか?」

 「吸い取るというのは言葉のアヤだがね。これは一時的に人間の記憶、自意識、好き嫌いなど、その人間のアイデンティティのほとんどを奪い去ってしまう機械なんだ。」

 「はあ、…ということは…。」

 「つまり、これにかかればどこの誰でもない人間が生まれるというわけだな。」

 「よくわかりませんが。そんなことをして何か意味があるのでしょうか。」

 「男が女に惹かれるとき君はまず何にひきつけられると思うかね。」

 「えー、顔?胸?いや、人によってまちまちだと思いますけど。」

 「いずれにしろ、まずその形にひきつけられて男は女に群がる。しかし実際にはそのまま本当に女に襲い掛かる男というのはあまり目にすることはない。」

 「そりゃ、いやがるものにむりやり襲い掛かったりしたら犯罪だし、それ以前に人には理性というものがありますから。」

 「そう、たいていの場合、いきなり近づこうとしても女は男を退けようとする。男もそれがわかっているから無闇に襲い掛かるわけにもいかない。そう考えてみると女の人格というものは襲い掛かって生殖をしたい男にとってはジャマ者、障壁にしか過ぎない…ということにはならないかな?」

 「そう言ってしまえばそうですが…。」

 「人格というものがなければ、男は女に対し思い通りに好きなことができる。」

 めちゃくちゃなことを言っているようだが、城元は聞いているうちに筋が通っているような気もしてきた。

 「ということは、この機械は思い通りにならない女を思い通りにしてしまえるためのものであると…。」

 「まあな。それだけでもないのだが…。しかしまあ女というものはたいてい思い通りにならないものだからな。」

 「しかし、人格のない女をモノにしても、おもしろくないんじゃないですか。それになんだか冒涜的だし。」

 「ほお、しかし、気を失った女、寝ている女、酔いつぶれた女を見て欲情することがないかな?君は。」

 たしかに、普段気にも留めていない女の子でも酔いつぶれてすやすや眠っているのを見て意外に心ときめくときもある。

 クロロホルムをかがせて意識を失った女性にしか欲情しないという趣味も古くからあるようだ。

 室長の言うことにも一理あるのかもしれないと城元は思った。

 「でも、それなら単に女を失神させればいいだけの話なのではないですか。そのときの記憶を消すだけならほかの機械でも出来る。何が違うわけですか。」

 「普通の女と同じように反応し、感じ、動く。これが違いだ。人格はなくとも気持ちよいセックスをしようとする本能に従って女は男を求めるだろう。そういうところはちゃんと考えてチューニングしている。」

 それにしても人から人格を奪ってしまうというのは非人道的すぎはしないか。

 「一時的なものだよ。そんな、人を廃人にしてしまうようなことはいくら私でも考えはしない。人格を消してしまうわけではなくて一時的に表に出てこなくなるというだけのことなんだ。実際はね。君もウチの機械をつかって人格変換ぐらいはしたことがあるだろう。それと同じことだ。」

 城元はまだもうひとつ納得できなかった。

 女を操りたいだけなら従来の製品で十分に出来ることなのではないか。

 「それに…。」室長が話を続ける。

 「人格がないということが男にとっても最大の媚薬となる…はずだ。」

 「はあ?」

 「これは私のカンだから、あまり自信はないのだが、これから検証していかなければならない課題でもあるな。」

 「はあ…。」城元は室長が何を言っているのかよくわからなかった。

 「そうだ。ひとつ君が試してみないかね。今週中には試運転できる程度には完成するはずだから、モニターしてもらえるとありがたいんだがなあ。そうだ、うん、そうしよう。」

 「そんな。勝手に決められても困るんですけど。」

 「でもちょっとは興味があるだろ。とりあえず好きな女とセックスだけはできるんだ。副作用とかのリスクはないから心配するな。」

 「いや、その。はあ。」

 城元自身はすでに結婚もしているし、そんなに女に飢えているわけでもない。

 しかしながら「人格のない女」というものがいったいどんなものかという興味がないわけではない。

 そうこうするうちになんとなく室長にこの機械のモニターを押し付けられる形になってしまった。



   誰でもいいとは言うものの、いざ実際に機械を試すとなるとなかなかむずかしい。

 仕事関係の女性でおこなってしまうと、いくら記憶がなくなるとはいえ、のちのち人間関係に影響が出る恐れがある。

 とはいえ、見ず知らずの人にこの時点でこの機械を使うのはあまりにも冒険すぎる。

 日ごろから気になる女性なんてものがいるわけでもない。

 いろいろと考え合わせると自分の妻に試してみるのが一番無難であるという結論に達した。



 城元は妻の貴美子と結婚して5年になる。特にこれという理由もないが子供はまだいない。

 貴美子はもともと性に対しては淡白で、ここ数年はほとんどセックスレスだ。

 昔からハーブを育てるのが好きで数年前から近所のガーデニングの店でアルバイトをしているのだが、趣味が高じて最近ではカルチャーセンターでハーブについての臨時講師をするぐらいまでになっている。

 そういうわけで城元にまけずおとらず多忙な身で毎日が充実しているからかセックスしたいとか子供が欲しいという感覚が起こってこないようだ。

 スレンダーで知的な美人だが夜のベッドでは男を魅了するといったタイプではない。

 マグロとまではいかないが、あまり積極的でもないし城元が頑張っているときにもあまり感じる様子を見せない。

 城元も妻を最後までイかした記憶がない。

 自分だけが耐え切れず発射して、それで終わり。あとは寝るだけというのがいつものパターンだ。

 やりたくないということもないが、忙しさにかまけて次第に遠ざかるのは仕方のないことだった。



   1週間後。村上室長から連絡がありテスト用の機械が完成したということで城元はそれを車にのせて家まで持って帰ってきた。

 前に研究室で見たものより少しスリムになって小型のパソコンぐらいの大きさになっている。

 使い方はしっかりとレクチャーを受けてきた。というよりもスイッチを押すだけのことなので誰にだって出来る。

 「ただいま。」

 「お帰りなさい。あら?何それ。」妻の貴美子が夫の持って帰ってきた機械をみとがめる。

 「あ…ああ、会社でテストを頼まれた機械だよ。使ってみてレポートを書かなくちゃならないんだ。」

 まさか、お前を実験台にとも言えず、ややうわついた声で城元は答えたが、貴美子はそれ以上の興味は示さなかった。

 「ふーん、あ、そう。ああ、食事は鍋にシチューが入ってるから温めて食べて。」

 いつも帰ってきたときには妻はすでに食事をすませ、部屋にこもってなにやらやっている。

 今日も城元は食事を自分で用意してさっさとすませる。そして機械を居間にセッティングする。

 「えーと、このアンテナみたいなのを照射したい方向へ…か。電源はこれでOK。」 

 準備は整った。いかに妻といえども、いや妻だからこそか…城元は思った以上に緊張してどきどきしてきた。

 貴美子は寝るまでにまた居間に来るはずである。

 城元がテレビをみながら待っているとやがて貴美子がコーヒーを飲みに部屋から出てくる。

 「あら、まだ起きてたの?一緒にコーヒー飲む?」

 「あ、ああ。」

 貴美子はとりとめもない世間話を始めたが、城元としてはそれどころの気分ではなく空返事をしながら機械のスイッチをいれる機会をうかがう。しかし、なかなかきっかけがつかめない。そうこうするうちに。

 「あなた、今日はまだ寝ないの?」

 「え?あ、ああ。もう少しテレビを見てたいから…。」

 「ふうん、じゃ私先に寝るわね。」

 貴美子は会話を切り上げて寝室へ行こうとする。

 城元はあわてて人格吸引機を発動させた。

 機械は何の音も立てず、緑色のLEDがチカチカと点滅をしているだけだ。

 前面から放出される電波が彼の妻を捕らえる。貴美子は、ふとたちどまり首をかしげる。

 自分が何をしようとしたのかわからなくなってきたのだ、そして次第に何もかもがわからなくなってくる。

 「え…と、なんだったっけ…。あれ…?」

 何をしようとしていたのか、今は何時なのか、ここはどこなのか、目の前の男は誰なのか、そして自分が誰なのかも…すべての認識が輪郭をうしない水ににじむインクのようにじんわりと形をなくしていく。

 ものの2分後には貴美子はぽかんとした表情で、ただ立ち尽くしているだけになってしまった。

 「おい、貴美子。」よびかけた声にも不思議そうに首を傾げるだけだ。

 いまや誰でもない、ただの肉体としての存在に貴美子は、なってしまった。

 その様子を見ているうち、城元には今まで想像もしなかったような、感情や欲情が沸き起こってくる。

 今までと何の変わりもないはずなのだが見慣れた妻のその肢体が見たこともないぐらい艶かしく息づいているように感じてしまうのだ。

 「貴美子…。」何の反応もない、ぼんやりと空中をみつめているだけの妻。

 息遣いだけが聞こえてくる。

 もう、なにをしても拒否されることはないだろう。

 「キミコォー!!」

 解き放たれた猟犬のように城元は貴美子に襲い掛かる。

 きつく抱きしめられた貴美子はいやがる様子も見せず、ただ曖昧な笑みを浮かべてされるにまかせている。



   城元は妻の細身の体には不似合いなほどの大きく隆起した胸を思い切り揉みしだく。

 これだけ大きな胸をもっているのだが妻はこれに触られるのをあまりよろこばなかった。

 中学のころに痴漢に思い切りもまれてしまったことからトラウマになっているので、気持ちいいというより怖いという気持ちが強くなってしまうと言っていた。

 また、胸だけを目当てに自分に近づいたり、付き合おうとしたりした男たちのせいでずいぶん傷ついたこともその魅力的な胸をさわらせることのない一因になっていたようだ。

 しかし今の貴美子にコンプレックスもトラウマもありえない。人格の存在しない人間に心の病はないのだ。

 城元は目の前にあるおおきなおっぱいを、欲するままに何の気遣いもなく揉んだりなめたりして十分に味わう。

 「ああ、柔らかい。こんなにいいものがずーっと俺の目の前にあったのか…。ううう、たまらん。」

 完全に頭に血が上って乳首にむしゃぶりつく。

 「あ、あ、ああん、あはん…。」

 20代後半の人妻の爛熟した肉体。AVのうたい文句のような形容が頭に浮かぶ。

 城元をさまたげるものはなにもない。



 目の前にいる妻であったはずの女は城元の愛撫に腰をくねらせ淫らなあえぎ声をあげている。

 自分が誰なのか、愛撫している男がだれであるのかということを意識することすらない。

 その目からは知性的な光が一切失われ、ただ快楽と男をもとめるだけの獣と化している。

 自分という意識を一切もたない貴美子はそのうっとりとした視線を次第に下に移動させる。

 そしていきなり城元のちん○をその手でぎゅっとつかんだ。

 「うっ。」「あははははぁ…。」貴美子はうれしそうにそれをコキはじめる。

 「しゅ、しゅ、しゅ、うふふふ…。」本当にうれしそうだ。

 城元は人形のように思っていた相手の意外な行動に対処できず、されるがままにしている。

 「うふ、おいしそ…。」貴美子はついに城元のちん○を口にいれて舐め始めた。

 「う、く、ううう、う、いい…、貴美子…。」唇でかるくしごかれた瞬間、背筋に電気が走り、首のうしろがズキズキするのを感じる。

 妻にこんなことをされたことは一度としてない。



 「なんて…、なんて…、いい…。」出来る限り早くイかないよう我慢しながらこの気持ちよさを味わう。

 そして今日最初の爆発は今まで体験したことのない妻の口の中だった。

 妻を相手にこんなに気持ちよく射精したことは初めてだ。思わず「う。」と声まで出てしまった。

 貴美子はといえば、夫の精液を口で受け止めうれしそうな顔で唇の端からしたたらせている。

 無論、夫の精液と認識しているわけではない。今の貴美子ならどんな男の精液でも大喜びで口にするのだろう。



 形としての女にすぎない貴美子は城元の愛撫にたいしてよく反応した。

 「きみこぉ…。」全身をなでさすり舐めまわす。

 「うふ、うふふふ…。あはん…。」人格がなくなっても性的な刺激には反応する。

 セックスをするという本能的な部分は失われてはいないのだ。

 人格を経由せず貴美子の「女」と直結した感覚に城元はしびれた。

 自分自身までも全身が感じまくる性器のようになってしまっているような気になる。

 「あうう…。」肌と肌が触れ合う部分すべてが快感を引き起こしている。

 ついさっき放出したばかりの城元のペニスはこともなげに復活している。

 さあ、いよいよ挿入と城元が思うより早く、貴美子がとっとと上からのしかかってぐいぐいと自分の中に城元のイチモツを飲み込んでしまった。

 「ああ、うう、す、すごい…。」



 無論、妻とは何度もセックスをしたことはある。しかし、これはまったく別の女といってもかまわないほどの違いがあった。

 全く何の躊躇も遠慮もなく騎乗位でぐいぐいと腰を回してくる。その力強さとまとわりつくようないやらしさは普段の妻からは想像すら出来ない。

 「あはん、うふん、うううん…。」

 時おり、淫らな微笑をうかべ、おもいっきりあえぎ声を上げる。

 そのあまりの淫靡さに城元もさらに興奮する。

 「キミコ…。」自分の上でバクバクと下品に腰を上下させている妻を押し倒すと、今度は正常位で攻め始めた。

 「くい、くい、くい…、ああ、貴美子、いい…。」

 妻を相手にこういうのも変な話だが、もうこのままどうなってもいいという気持ちになってくる。

 「いいん、ちん○、いいん、ああん、はああん、あん、いきそうなのぉ…。」城元が結婚して以来、妻の口から決して出ることはなかった言葉が連発される。

 「ふう、ふう、じゃあ、これは、どうだ。」

 城元は後ろへ回り込むとバックスタイルで妻を犯し始めた。

 「きゃうん、あうん…。」貴美子は相変わらず嬌声をあげている。

 今までの貴美子なら決して許さなかった体位−後背位で



 コトが終わって貴美子が眠り込んでしまった後も城元は興奮が収まらない。

 貴美子をいままでにないほど何回もイかせた。自分も何回絶頂に達したか覚えていないほどだ。

 「はあ、はあ、はあ。オレがこんなに頑張れるなんて…。」

 なにやら魔法にかかったような気分だ。

 村上室長によれば、一度眠ると人格を失っていた時の記憶はいっさい残っておらず、次に起きた時には完全にもとどおりになるということだ。

 城元は妻を着替えさせると寝室へ運んだ。昨晩のことはいきなり記憶がとぎれているので不審に思うはずだが、まあなんとかなるのだろう。

 それよりも自分のことだ。妻の肉体の魅力をこのように知ってしまった。

 どのような顔をしてこれから彼女とつきあっていけばいいのか。



 「なるほど…。それで君はその時どう感じたのかな。」

 第2研究室で城元と村上室長が話をしている。機械を返しにきた城元に村上室長が聞き取り調査をしているのだ。

 「なんというか、体中がいきりたっているというか目の前の女を犯すということしか考えられなくなっていましたね。」

 「やはり、というか想像以上のものがあったようだな。」

 「どういうことですか。」

 「人格という障壁をとりのぞくことで女性が本来持つ男を引き付ける力とでもいうべきものが飛躍的に強くなったように思われる。」

 「ええ、どんな女であれ今まであんなに魅力的だと感じることはありませんでしたよ。」

 「もしそこに他の男がいれば、同じように彼女に引き寄せられ、そして彼女もそれをこばまなかっただろう。男が何人いたとしても…多分同じことだろうな。人格のない女に男をえり好みすることはありえない。」

 「ええ…。」

 城元はそんなバカな、といいたいところだったが実際に自分が体験したことなので室長の言葉にはとてもリアリティを感じた。

 「たしかにすばらしい体験をさせていただきましたが、やはり私は少し恐ろしい気がしますね。自分で自分に歯止めが効かなくなるような、なんというかそういう怖さを感じましたね。」

 「貴重な意見ありがとう。参考にさせていただいて開発に役立てるようにするよ。思った以上に人格を消すということの効果は大きかったようだ。このままでは製品化するのは少し危険だな。」

 「ええ…。」もう一度あの人格を失った妻と激しいセックスをしてみたいという甘い願望を自分の中でおさえつけながら城元は複雑な思いで応えた。



 それからの城元は定期的に妻とセックスするようになった。

 妻の貴美子も城元に真面目に要求されれば断る理由もない。

 「ねえ、どうしたの?いったい…。」妻が微笑みながら尋ねる。

 「うん、心も大切だけど、こういうこともおろそかにしちゃいけないんじゃないかって最近思うようになったんだ。いやか?」

 「ふうん、まあ、別に…イヤじゃないけど。」

 ベッドで城元が妻をそっと抱きしめ、押し倒していく。

 無論、あの時のように激しく燃え上がることはない。以前と同じように、ごく淡白な愛の交わりだが城元はそれでもかまわなかった。

 妻のすばらしさを彼はすでに知っている。

 ふたたびあの夜を再現するために地道に一枚ずつ皮をむいていくように彼女を少しずつ変えていく。

 そうしていけばいつかお互いに最高と思える快感を得られる日がくるかもしれない。

 そしてそこにたどり着くまでの過程こそが快楽であり、あるいは愛なのかもしれないと城元は考える。



 二人の愛の証が誕生したのは翌年のことだった。

 

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